ダイヤモンドの輝きを引き出す58面体ブリリアントカット

ひと口にダイヤモンドと言っても、形やカットの仕方には様々なものがあります。
中でも現在、最もダイヤモンドの輝きを引き出すと言われているのが、58面体のブリリアントカットです。
一般的にダイヤモンドと言えば、この形を想像する人も多いほど現在ではポピュラーな形になるのですが、ここに至るまでには長い道程がありました。
ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すことができるという、58面体ブリリアントカットについて紹介します。
ブリリアントカットとは?
ダイヤモンドには様々なカットの方法がありますが、58面体ブリリアントカットとは、その中でも一番スタンダートなカットの方法です。
中でもラウンド・ブリリアントカットは中央部分を丸くカットし、底に行くほどに鋭角になっていきます。
底の部分をカットしたものを58面体ブリリアントカット、底の部分を鋭角のままにしておくものを57面体ブリリアントカットと呼んでいます。
光の反射や屈折を緻密に計算して割り出したカット方法ですので、効率良く光を取り込むことができ、ダイヤモンドの内部で光の乱反射を誘発します。
このカット技術が不足していると、質の良いダイヤモンドであっても光の反射が途中で滞ってしまうことになり、美しい輝きを放つことはありません。
正しくブリリアントカットが施されたダイヤモンドの場合には、上部から入り込んだ光が全て内部で複雑に反射をして、上部に放たれるようになります。
58面体ブリリアントカットの歴史
ブリリアントカットが発明された時期は意外と古く、17世紀のヴェネツィアでは既に原案が作られていました。
17世紀末にヴェネツィアの研磨職人、ペルッツィによって58面体のオールド・マイン・カットが作られました。
19世紀になると、さらに緻密なカット方法が発案され、現在の58面体ブリリアントカットへと繋がっていくことになります。
そして1919年になり、ダイヤモンドの加工業を営んでいた数学者であり宝石商人でもあったマルセル・トルコスフキーが、ダイヤモンドの光の反射や屈折率を数学的に数値化して、アイデアルカットを確立させました。
古い時代のダイヤモンドはカット数が少なく、徐々にカット数が増えていくのですが、どちらがより好ましいかということは個人の好みによります。
効率的な屈折率を持つダイヤモンドと、古い時代のダイヤモンドは意見が分かれると思いますが、現在の58面体ブリリアントカットはダイヤモンドの光を、より美しく反射するカット方法と言えるでしょう。
婚約指輪などでも、好んで使われているカット方法ということから、それが証明されています。
ブリリアントカットの種類
ブリリアントカットの中でも、最もスタンダートなカットがラウンド・ブリリアント・カットです。
実はブリリアントカットにもいくつかの種類が存在し、現在では研磨技術の向上と共に、より複雑な形をしたダイヤモンドも誕生しています。
楕円形にカットされたオーバル・ブリリアン・カットや、滴形を逆さまにしたようなペアシェープ・ブリリアン・カット、ハートの形をしたハートシェープ・ブリリアン・カットなどもあります。
他にも動物の形をした物なども存在し、様々なシルエットを保ちながら、美しい輝きを放つダイヤモンドが増えています。
ダイヤモンドの価値を決める基準の一つに「カット」という項目がありますが、こちらはカットの良さを知る上で大切な指標になり、5段階評価で査定をされています。
最も良い物は「エクセレント」、続いて「ベリーグッド」、「グッド」、「フェア」、「プア」の順に評価が付けられています。
ダイヤモンドを購入する際には、この基準にも注目をする必要があります。
ダイヤモンドを語る上で欠かせないのが、カットの方法です。
中でもスタンダートなカット方法がブリリアントカットと言われ、58面体ブリリアントカットは最上の一つです。
ダイヤモンド自体が遥か昔から人々に特別な石として大事にされてきましたが、そのカット方法も時代を経るにつれて、よりダイヤモンドの特性を活かしたものへと変わっているのです。